染色との出会い

柚木沙弥郎は復員後に勤めていた大原美術館にて、染色家 芹沢銈介の型染カレンダーに出会いました。その後、芹沢に師事し「民藝」の道へ進み、芹沢が参加していた柳宗悦を主とする民藝運動にも大きく関わりました。


まゆ玉のうた 2013年 型染、木綿 岩手県立美術館蔵 大谷広樹撮影

型染(布)

伝統工芸の染色技法のひとつです。柚木の型染は渋紙を彫って型紙を作り、布の上に置いた型紙の上から防染糊で型付けをする「型紙防染」という技法で染めています。「型染」は渋紙を彫るという制約から生まれる簡潔な模様表現の特徴があり、柚木はその特徴を楽しみ、一枚の布をひとつの作品として作り上げました。また、作品の要となる布に対しても人一倍のこだわりを持ち、布自体も作品の色のひとつと考えました。良い作品作りは素材選びからと考え、模様だけでなく、素材である布そのものも大切な主役とし、素材と模様の一体化を目指しました。
和紙に柿渋で幾度も塗り重ねて耐水効果を付けた「渋紙」や「合成紙」にデザインを施し、カッターなどで彫り抜いて「型紙」とします。餅粉と糖を混ぜて作る「糊」を、彫り抜いた型染に塗り、塗った箇所が防染され、布地の部分を染めていく技法です。型染による模様の繰り返しと、複数生産が可能です。
柚木は従来の型染の考え方を踏まえつつも、奔放なデザインが特徴です。特に型染の一種である「注染」を得意とし、従来小幅布に多く使われていたこの技法を幅100㎝を越える広幅布に対して使用し、縦方向に蛇腹に折って染める「広幅注染」を完成させたことは大きな功績です。このやり方は勤務した女子美術大学では現在も欠かせない表現技法のひとつとなっています。
目に映るあらゆるものを作品作りの源泉とした柚木ですが、色彩豊かで広がりのある作品の中でとりわけ本人が好んでテーマとしたものが「人」です。生活の中で様々な人の仕草や様子がそのモチーフとなっています。また、数々の動物も好んでテーマとしたひとつです。
また、多くの作品に使用されている特徴的な赤は「柚木レッド」と呼ばれるようになりました。


祝日 1982年 型染、絹 岩立フォークテキスタイルミュージアム蔵


木もれ陽 2019年 松本市美術館蔵


型染むら雲三彩文着物 1967年 型染、紬 日本民藝館蔵


大気 1970年代 注染、木綿 学校法人女子美術大学蔵 末正真礼生撮影


ならぶ人ならぶ鳥 1983年 型染、絹 世田谷美術館蔵


型染山羊文暖簾 1970年代 型染、麻 日本民藝館蔵


らんまん 1986年 型染、絹 女子美術大学美術館蔵


ツバメのうた 型染、木綿 日本民藝館蔵

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